行動力工場

薪ストーブMS−310設置

出会い

あれは2002年12月8日、珍しく関東地方一円に積雪があった日だった。私は半強制的に、ログハウスの体験宿泊に連れて行かれた。そこで初めて薪ストーブと出会ったのだ。 オーストラリア製、オーブン付の その薪ストーブには、ログハウスに付いた時から炭がくすぶり続けていて、部屋の中は到着時からすでにポカポカ状態だった。「火がつけっぱなしで、危ないですねえ。」と業者の人に話し掛けると、「みんな出かける時には、薪を入れっぱなしで出かけてますよ。」と言われた。 そんなこと考えもしなかった私は、え!燃やしっぱなしで大丈夫なんだろうか?と衝撃的に驚いた。 そして、その日の夜の事、富士山麓のこの場所は、雨から雪に変わり、一面銀世界となった。その時の外気温−2℃。23時頃の事だ。室内はと言うと・・・ここはハワイかと勘違いしてしまうほどの暖かさの28℃。Tシャツと短パンで過ごしていた。すっすごい!すごすぎる!と感激しながら暑すぎて布団をはいで就寝したのだった。

思いつき

ここは静岡県清水市、冬でもまあまあ暖かい。ここで育った私は薪ストーブをよく知らない。当たり前である。清水には薪ストーブは必要ない。小さい石油ファンヒーターでなんとか事足りてしまうからだ。でも...体験宿泊から帰ってきた私は寝ても覚めてもあの暖かくてゆらゆら炎の見える薪ストーブが忘れられずにいた。しかし、私の家は築43年、土壁で15坪ほどの小さな平屋だ!こんなところにあの薪ストーブが設置できるわけが無いとあきらめていた。会社では仕事中、ネットで薪ストーブについて調べまくっていた。そんなんで2日間が過ぎた次の日、やっぱり欲し−−−−い!!そしてクリスマスは薪ストーブの前で過ごす−−−。と考えを固めた。一大決心だった。

計画

まず何をおいても設置場所である。私の家は4畳のキッチン、6畳の食堂、あとは12畳の居間兼寝室しかない。普通は居間に設置するべきなのだろうが、居間は夜、寝室に変わる。となると残るは6畳の食堂しかない。幸いここには、700×700くらいの小窓が空いている。煙突を出すにはもってこいだ!と言うことで、設置場所は食堂のコーナーに決定した。

設置場所の床と壁は、レンガで仕上げて、煙突を出す窓はコンクリートで固めることにした。あと床下はブロックと車のジャッキで補強もする。

次は薪ストーブの選定だ。体験宿泊で見たやつは定価で40万以上、他のもみんなべらぼうに高い。そんなに高いのは手が出ない!とあきらめかけた時、中国製の鋳物薪ストーブが3〜5万ぐらいで売っているのをインターネットで見つけた。これしかないと思った私は、色々調べまくった結果、ホンマ製作所で売られている、MS−310と言う薪ストーブに決めた!考慮した点は、

・出来るだけ炎の見えるガラス面が大きいこと。

・値段が安いこと

・コンパクトであること

だ。MS−310は前面に大きな耐熱ガラスと正面の脇にも小窓がついていて、斜め前からでも炎が見えそうだった。値段も6万円台と納得できる。サイズも6畳のコーナーでも何とかなりそうだ。暖房能力も30坪と私の小さい家では大きすぎるぐらいある。

 

購入

MS−310の購入はメーカホームページよりもヤフーのオークションのほうが若干安かったので、こちらに決めた。送料込みで62900円だ。他の材料も、近くのホームセンターで床用に半分の厚さのレンガ48円を60枚、壁用に普通レンガ68円を120個、セメント280円を2袋、を購入した。体験宿泊からまだ一週間もたってないのに、どんどん計画が進んでいく。

設置

12月14日

 まだ薪ストーブが届かないのでまずは床からだ!今ひいてあるカーペットをはがして、モルタルでレンガを張っていく。レンガ敷きなんて始めての経験だ!施行方法をよく調べていないので、感と経験で勝負だ!もしかしたら間違っているかもしれない。モルタルがはみ出ないように木で型を作って1cm位の厚さにモルタルを敷き、レンガを置いていった。いつもの事ながらモルタル作りは疲れる。モルタルに小砂利が入ってしまったので、なかなかレンガが平らにならない。まあ素人のやる事だからとあきらめ、なんとなく平らにした。本当は水平器を使うんだろうなあ。つぎは目地を入れていく。これが時間がかかった。隙間を小さくしすぎて目地を入れるのに手間取りさらにレンガも汚してしまった為、あとで掃除するのも大変だった。今度レンガを敷くときは、目地を十分に大きくしようと心に誓った。今日はこれでおしまい。

 

取付予定の家、

小さい平屋です。

左の窓に煙突が

出る予定です。

レンガはインターネットで

調べたとおり、水の中へ

 

床に並べてます。

もっと間隔を

あければよかった

壁を一段だけ積みました

 

 

12月16日

今日MS−310の代金の振込みを済ませた。即日発送してくれ明日配達予定だそうだ。最近はインターネットの発達で物の手配が恐ろしくなるほど早い!うれしい限りだ!

会社から帰り、壁を3段積んだ。下から3段目までは安定性のため普通に積み、4段目からは広い面を壁につけて積んだ。レンガ積みも始めての経験だ。いつかやろうと思っていてレンガ用のこてだけは持っていた。思っていたよりずっと難しい。モルタルの硬さにも技術がいるようだ。

12月17日

今日会社に家から電話があった。MS−310が届いたが、重すぎてトラックから降ろせないそうだ。伝票では80kgとなっているが運転手さんは「そんなのうそだ!絶対それ以上はある」と言っていた。ちなみにホンマ製作所のHPだと120kgとなっていた。うーん^^;。仕方なく会社に運んでもらい、4人がかりで降ろした。この後家までどうやって運ぼうと悩んでしまった。

1人では家に持って帰れないのでMS−310は会社にお泊り。私は残りの壁をせっせと積みました。

12月18日

今日はいよいよMS−310を家に運びました。クレーンでカローラワゴンへ積み込み、下ろすのは車の荷台に高さ調節した台車に積み、玄関まで、運んだら後は人力です。しかし重い!腰を痛めなくてよかったです。

廃材をもらってきました。今年は廃材メインです。

 

もらってきた廃材。

シートの下は、

ピザ窯用の断熱れんが

 

こっちも廃材。

でも燃やすのが

もったいない

位いい木です。

 

12月19日

床が心配になり床下の補強をしました。縁の下にもぐり、コンクリートブロック2つの上に車のジャッキを載せて根太にアングルをつけての補強です。これで予定の位置にMS−310を設置できます。梱包を解いて、足をつけ、うーーんかっこいい!あとは煙突をつけるだけです。

煙突支持金具をアルミで

作りました。

軽量化の穴あけが大変だった!

12月 20日

 

煙突が到着しました。これもホンマ製作所製です。思ったよりでっかいダンボールでびっくりしました。子供がダンボールの家が出来ると大喜びしていました。

 

煙突が到着。

思ったより

ずっとでかかった

取付金具を

考え直さなくては。

ここから煙突が

出る予定

電気配線が集中

しています。

慎重に!

 

12月23日

煙突周りの工事をしました。めがね石をコンクリートで作る予定でしたが、見た目が悪いので、穴をレンガでうめることにしました。煙突が通るだけの穴をあけておいて、あとは煙突を通してから陶芸用の粘土で埋めていくだけです。

12月23日

煙突の塗装をしました。当初塗装無しを考えていましたが、あまりにも目立ちすぎるので、耐熱塗料の黒で全部塗りました。

12月24日

又造船所よりデッキ材の廃材をもらって来ました。

12月25日

薪集めをしました。近所の製材所に聞いてみたら、杉の皮の部分だったらもらえるとの事なので炊き付け用に明日もらいに行くことにしました。

祝完成

とうとう完成しました。なんとか年内に火を入れることが出来ました。

 

めがね石は使用せず

レンガで組んで、残りは

陶芸用の土で埋めました。

外側です。

電気の計器が近いので  

ちょっと心配です。

ちゃんと温度を監視

しなくては。

煙突の支えです。

アルミのアングルで

自作しました。

もう少し強度がほしいので

後で補強することに

しました

 

初めての火入れです。  

 

後は温度試験をして終了です。これで今年の冬は暖かく過ごせそうです。

でも思った以上に薪を消費するみたいで、これからは薪の調達がメインの課題です。

思い立って3週間で完成させることが出来ました。今まで色々作りましたが、最短記録です。今後使用感などを記録して行きたいと思います。

試験結果及使用後感想はこちら

 

1月5日

試験結果をふまえて、12畳の部屋の押入れの上の天袋部を貫通させて6畳間とつなぎ、そこファンを入れて6畳間の天井付近の熱い空気を強制的に12畳の方に送風することにした。400角のダクトをベニヤで作り、土壁を貫通させて40Wの送風機をそこに埋め込んだ。1日かかってしまった。

ところが40Wの送風機の音とパワーはすさまじいい。ここは工場の中かと思うぐらいの音と風だ。しかいこの送風機はもらい物なので文句はとても言えない。そこでトライアック制御の電力調節器を入れて回転速度を制御できるようにした。これで何とか風量が調節できるようになった。

結果は、

良好!!6畳間と12畳の居間兼寝室が同じように暖まっていく。ちょっと音がうるさいけどまあ我慢できる範囲だ。夜寝るときもつけっぱなしに出来るようにタイマーも取り付けた。

しかし又問題が出てきてしまった。臭いだ!密閉されているはずの薪ストーブから、煙の臭いが漂ってくる。その臭いはダクトを通って寝ている12畳間まできている。炊きつけの時よくよくストーブを見ていると、天板のすみから煙が立ち昇るのが確認できた。

1月6日

もう補修かあ、と思いながらMS−310に付属していた補修パテで煙が出ているところを埋めてみた。

空気量調節

臭いは正面のガラス面の上部に付いている空気取り入れ口からも出ていることが分かった。どうもダンパーを閉じた時、煙突からの排気よりも下面からの吸気のほうが多くなり、それが部屋に充満するようだ。と言うことは下面からの空気を制限すればいい!と言う事で、下面の空気取り入れ口に簡単な空気調節機構を加えてみた。結果は良好だ!加えて燃費も驚くほど伸びた。

1月30日

現在、何の問題も無く快適に薪ストーブ生活を送っています。後は薪の確保と薪ストーブでの料理だ!

 

 

2003年

 

11月17日

今年も薪ストーブの季節がやってきました。春に生まれた子供もすばしっこくハイハイする様になり、ストーブの窓から見える炎を見つけると、ニコニコしながら突進していくようになりました。危険で仕方がありません。そこでストーブガードを取り付ける事にしました。

まずインターネットで調べたら、結構高価!びっくりです。仕方なく自作する事にしました。材料は一番安く出来そうな鉄筋です。あのコンクリートに入れるやつです。10φ5.5mで130円!!うーーん安い!(カインズホームの値段です)その他の材料はもらい物です。合計600円以下で出来ました。塗装は家にあまっていたスプレーの塗料です。細い物の塗装はスプレーでは難しかったです。耐熱塗料でなくていいのかなあ??

ドアは引っ掛けてあるだけです。

蝶盤なんてつけるの難しくって...

気になっていた前面のガードの温度は

それほどあがりませんでした。

 

 

2004年

2月13日

夜、風呂上りに煙突のした付近で夜風にあたっていると、雨も降っていないのに、ポタッ!ポタッ!と水滴が地面に滴り落ちる音が聞こえてきました。急いで懐中電灯を片手に煙突の下を見ると、なにやら黄色っぽい液体がたれているのを発見しました。そしてそこから燻製のような強い刺激臭がします。最近どうもこの臭いがきついなあと思っていたら、ここが原因だったらしいです。乾燥が不完全な廃材を燃やしていて、粗悪な木酢液が発生しているようです!応急措置でバケツを下に置き、地面に直接落ちないようにしておきました。薪の乾燥をもっと徹底的に行う必要がありそうです!

 

 

いよいよ3シーズン目の薪ストーブライフが始まりました。去年の春、ピザ製作中にストーブの背面に入った亀裂も無事補修して、心まで暖まる冬の始まりです。

最近、地球規模で温暖化の影響が出始めているようです。薪ストーブの使用は、薪を燃やす事で、一見CO2を大量に発生させると考えがちですが、薪ストーブの出すCO2は燃料となる木が成長する過程で取り込んだCO2を排出しているだけなので、石油ストーブを使うより断然環境に優しいとのことです。さらに触媒方式とかクリーンバーン燃焼方式を採用したストーブでは、さらに薪の燃焼効率があがり、地球にやさしくなります。クリーンバーン燃焼方式を調べてみると、ストーブ下前からの一次空気とガラス面上部の二次空気に加え、ストーブ底面からの三次空気を炎の上部に給気して、そこでタールや微粒子などをさらに燃焼させてやる方式だそうです。我が家のMS-310を見てみると一応3ヶ所の穴は開いていますが底面の穴はいつも灰で埋め尽くされています。そこで、その穴から何とかして炎の上部に外気を給気してやれば我が薪ストーブも立派なクリーンバーン方式になるのではと考えました。何でも改造したがる私の悪い癖です。目標は今シーズン中に製作です。

 

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